【パレットプラザの○○な人】第1回:フィルムカメラ愛が止まらない!パレットプラザ氷川台店オーナーを直撃

全国に約200店舗を展開する「パレットプラザ」。写真やフォトブック、フォトグッズなどさまざまな写真関連サービスを提供しています。
店名には〈絵の具のパレットに様々な色合いがあるように、ひとりひとりのらしさと家族の幸せに、大切に寄り添えるお店でありたい〉という願いが込められていますが、働く人たちも色とりどり。個性あふれるオーナーやスタッフを、3回に渡って紹介します。
パレットプラザ氷川台店へ
今回、スポットライトを当てるのは、パレットプラザ氷川台店のオーナー兼店長の小山このみさん。実は小山さん、フィルムカメラ愛がすごいんです! 氷川台店のInstagramには小山さんがフィルムカメラで撮影した写真が数多く投稿されています。

なぜ小山さんはフィルムカメラに惹かれているのか、突撃インタビューしてきました!
偶然? それとも必然? 2台のフィルムカメラとの出会い
東京メトロ・副都心線の氷川台駅から徒歩1分。石神井川からほど近い都道沿いにパレットプラザ氷川台店はあります。

お店に入ると一人の小柄な女性が「こんにちは」と明るく出迎えてくれました。そう、この方こそがフィルムカメラを愛してやまない小山さんです(恥ずかしがり屋さんなのでお顔はNGとのこと)。
フィルムカメラといえば、筆者の中では「写ルンです」のイメージ。そう言うと、小山さんは「まだありますよ」と実物を見せてくれました。


いまは若い人に人気で、入荷してもすぐに売り切れてしまうんですよ
そうなんだー。筆者が子供の頃はコンビニにも並んでいて、手のひらにおさまる小さいサイズが便利で、修学旅行に持って行ったっけ。ただし、写真を現像してみたら顔が見切れていたなあ……なんて、久しぶりに実物を見たら懐かしい思い出がよみがえりました。
ところが、小山さんが愛用しているカメラを見せてくれたときは「これがフィルムカメラなの!?」と驚きを隠せませんでした。メカニカルでスタイリッシュなボディに存在感のある大きなレンズ。これが本当のフィルムカメラか、かっこいい……。しかも2台も!


シルバーのボディー(写真左)が「ライカ」、黒のボディ(写真右)が「コニカC35 EF」。ライカは主に休日のおでかけ撮影用、コニカは普段パシャパシャ撮る用で通勤途中に撮ることもあるそう。つまり、2台を使い分けているのです。



コロナ禍で時間ができたので、何かいいカメラないかなと思ってネットで調べていたら、この子(ライカ)を見つけたんです。有名なメーカーなので憧れてはいたのですが、なんせ高級品…一生ご縁は無いと思っていました。でも、専門店ではないショップだったからか、今までに見たことない価格のものを発見!ちょっと冒険でしたが、買っちゃいました!
ライカは、カメラ好きの間では知らない人がいないというほどの有名なカメラ。小山さんが持っているフィルムカメラは、今から70年以上も前に作られたもので、リサイクルショップで出会ったんだとか。


「ものによっては180万円くらいするものもあるんですが、これは本体とレンズがセットで3万円弱で手に入りました」
コニカをお迎えしたのは、それから1年ほど経ってから。正式名称コニカC35EFは、1974年に発売された世界初のフラッシュ内蔵カメラで、愛称は「ピッカリコニカ」と言うそうです。
と、ここでフィルムカメラ初心者である筆者の心に素朴な疑問が浮かんできました。
なんで2台も持ってるんだろう……?
もしかしてカメラ好きの間では2台以上持つのがデフォルトなの? それともカメラによって撮れる写真の雰囲気が違うから?



ある日、年配のお客さまが“これ、調子悪そうなんだけど見てもらえない?”と1台のフィルムカメラを持ってきたんです。それがまさにこのコニカで、様子を見ながら試し撮りをしていくうちに、意外とよく撮れることに感動しました。そこから調べてみたら、似たようなモデルが結構安く出回ってたので、買うことにしたんです


なんと、お客さんの相談にのっているうちに「私もほしい!」と買いたくなっちゃったそうです。お客さんの持ち込んだカメラをきっかけに新しいカメラに出会えるのは、パレットプラザで働く醍醐味かもしれません。
小山さんの接客の親身さと写真への愛が伝わってきてほっこりします。
幼少期から大好きだった写真撮影。時代の流れを経てデジタルから再びアナログへ
お父さまが写真好きだった影響もあって、幼い頃からカメラに親しみがあった小山さん。高校の入学祝いにフィルムカメラを買ってもらったのをきっかけに、自分でも写真を撮るようになりました。友人からも「小山さんと言えば写真」と言われるほど、自他共に認める写真好きになったそうです。
高校を卒業すると地元の写真館に入社し、年間約10万枚もの撮影を経験してきたそう。もちろん当時はまだまだフィルムカメラの全盛期。日々の仕事で写真を撮影していた小山さんは、フィルムカメラの達人というわけです。
しかし、やがてデジタルカメラの時代に。仕事でも、デジタルカメラしか使わなくなり、いつしかフィルムカメラとは疎遠になっていったそうです。
それがコロナをきっかけに、ふたたびフィルムカメラに目が向くようになった──というエピソードはすでにお伝えした通り。
いまは、時間があるとフィルムカメラで撮影をするのが日課であり、また休日の楽しみになっているほど、その距離は縮まりました。 パレットプラザ氷川台店のInstagramには、季節の花や空の色、ポストなど、日常の何気ない風景だけれど味わいたっぷりな写真が並びます。これらはすべて小山さんが自分で撮影して投稿されたものなんです。


ありふれた風景もノスタルジックな雰囲気に。


他のパレットプラザのInstagramでは、セールの情報やサービスの紹介が主に投稿されていますが、小山さんは、なぜ自分で撮影した写真を主に投稿しているのでしょうか。



このお店にはこういう写真を撮る人がいるんだって伝われば、写真好きのお客さまがお店に来てくれるんじゃないかと思って。それに、自分が撮った写真を、好きなタイミングで投稿するほうが、Instagramも楽しく続けられますし
セールの情報だけじゃない、氷川台店ならではの個性も出していきたい。Instagramの投稿にはそんな思いが込められています。
フィルムカメラは「時間がかかる、急がない。でもそれがいい」
お話を聞くにつれ、フィルムカメラというより、小山さんのファンになりかけている筆者。小山さんにとってフィルムカメラの魅力とは?



何をするにも時間がかかるところですね。私が今使っているフィルムカメラは、ピント、シャッター速度、フィルムの巻き上げと、一枚撮るのに準備がたくさん。とにかく時間がかかります。そしてフィルム1本分を撮り切らないといけないし、現像するまで撮った写真を確認できない。でも、その“急がない感じ”が好きなんです。そんなふうに時間をかけて撮るからこそ、現像した写真が、露出もピントもバチッとハマっていた時は、すごくうれしいですね!
目をきらきらと輝かせながらフィルムカメラの魅力を語ってくれた小山さん。あぁ、どうしよう、これ以上熱弁されたら私までフィルムカメラがほしくなってしまう……。


フィルムは最盛期には1本500円くらいで買えたそうですが、今では1本2,000円以上の高級品
最後に、これからどんな写真を撮りたいか尋ねると、



これといって特にないのが正直なところですね。撮るぞ!と意気込んでるつもりはあまりなくて、楽しみながら撮影を続けていきたいです
と、写真を心から愛する小山さんらしい答えが返ってきました。
何事も、楽しみながら続けるのが一番ですよね。
これからも素敵な写真の投稿を楽しみにしています!


大理石の地面にディズニーランドホテルが映る「逆さランホ」はディズニーファンの中でも有名だそう。
(この記事の著者・撮影(店内))


溝川みか
東京都出身。大学卒業と同時に栄養士免許取得。食品メーカーでの勤務経験を通して「良いものをより多くの人に伝えたい」という想いからライター業を始める。現在は食分野をメインに経営者インタビューや取材記事、コラムを執筆中。
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