【マガプラ座談会】プラザクリエイトの軌跡〜過去・現在・未来〜第3回:プラザクリエイトの現在ーアパレルDXの可能性

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写真プリントチェーン「パレットプラザ」から、モバイルショップ、アパレル事業まで。時代の変化とともに進化を続けるプラザクリエイトグループの軌跡と未来像を、創業者と新経営陣が語る全4回の特別座談会。

第3回は、今年グループに加わったBY THE PARK代表・城市浩二氏が語る、アパレルDXの可能性。ZOZOTOWNでの経験を活かしたEC支援から、プラザクリエイトとの協業による新たな挑戦まで、次世代のアパレルビジネスの展望に迫る。

参加者PROFILE

大島康広(おおしま やすひろ)

株式会社プラザホールディングス代表
プラザクリエイトの創業者。趣味は写真と旅行、ボート。

新谷隼人(しんたにはやと)

株式会社プラザクリエイト代表
2022年より36歳にして2代目社長に就任。趣味は、サウナとキャンプ。

城市 浩二(じょういち こうじ)

株式会社BY THE PARK代表
2016年にBY THE PARKを設立。2024年9月よりプラザクリエイトグループの一員に。

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ZOZOTOWNとの出会いから起業へ

まずは城市さんの経歴と、BY THE PARKを立ち上げた経緯についてお聞かせください。

城市 前職ではアパレルブランドを手がけていました。セレクトショップに商品を卸していたのですが、当時は有名セレクトショップも、徐々にオリジナル商品の比率を高めていく時期でした。そうしたセレクトショップは、今では自社商品が9割を占めるようになっています。そんな中で新しい販路を探していたところ、株主の一人がZOZOTOWNの創業メンバーだったんです。

大島 当時のZOZOTOWNはまだ、今ほど大きな存在ではなかったですよね。

城市 そうなんです。売上が300億から500億円くらいの頃で(編注:23年度は約1970億円)、まだブランドの出店も限られていました。でも、その時期にZOZOTOWNへの出店機会をいただいて、それが大きな転機になりました。

新谷 大きな転機とは?

城市 我々の店舗がZOZOTOWNに出店したことで、他のブランドからも「うちの商品も扱ってもらえないか」という話が来るようになったんです。というのも、当時はZOZOTOWNへの直接出店が難しい時期で、我々を通じて商品を出品できるというメリットがあった。そこから取扱商品を増やしていって、気がつけば大きな事業部門に成長していました。

ZOZOTOWNへの出店を機に、事業の急成長を経験
その後、独立を決意されたわけですね。

城市 はい。私は28歳という若さでしたが、気がつけば40〜50人規模の事業部門を任されるようになっていました。ただ、その規模になると「自分じゃなくてもいいかな」という思いが出てきて。そこで3人くらいでブランドを立ち上げることにしたんです。

新谷 そこで培ったノウハウが、今のBY THE PARKの事業の基盤になっているわけですね。

城市 そうですね。創業から9年になりますが、ZOZOTOWNを中心としたECコンサルティングのノウハウは、当時の経験が大きいです。

2016年8月「株式会社BY THE PARK」を設立

M&Aを決意させた“価値観”

プラザクリエイトグループへの参画を決めた理由は何だったのでしょうか?

城市 実は16社ほどM&Aの話があったんです。でも、ほとんどが数字の話がメインで。「こんな会社です」「こんな仕事してます」という紹介で終わってしまう。私自身、M&Aはもういいかなと思っていた時に、最後の1社として紹介されたのがプラザクリエイトでした。

大島 こういうことを言うとまた新谷さんから「スピリチャルだ!」と言われそうですが、実は最初から、なんとなく相性の良さは感じていました。

城市 僕もそうなんです。他の会社とは全く違って、大島会長と新谷社長が「こんな夢がある」「こんなことをしたい」という未来の話を熱く語ってくれて……。単に売上や利益の話ではなく、みんなが素敵な人生を送れるためのベースを作ろうとしている。そんな価値観に強く惹かれたんです。

新谷 我々も、城市さんのような方と出会えたのは本当に幸運でした。実は以前からアパレル事業に興味があって、カフェとプリント工場を組み合わせた拠点「HATTO CREATIVE PLAZA」を作るなど、いろいろなテストをしていました。でも、事業として成立させるにはまだ足りないものがある。その中で、オンデマンドで商品を提案・販売していくノウハウは絶対に必要だと考えていたんです。

デジタル時代のアパレルビジネスとは

具体的にはどのような事業を展開されているのでしょうか?

城市 簡単に言うと、メーカーの商品をオンラインで効率よく周知し、購入してもらうためのコンサルティングです。例えば、実店舗しか持っていなかったブランドがECに参入する際、まず直面するのが「オンラインショップの存在を誰も知らない」という問題です。

大島 リアル店舗とは全く異なるアプローチが必要になるということですね。

城市 そうなんです。クーポン配布の方法や、商品写真の撮り方など、リアル店舗での商品陳列とは全く異なるノウハウが必要になります。同じMD(マーチャンダイジング)でも、戦い方が違うんです。

新谷 そこにプラザクリエイトのデジタルプリント技術を組み合わせれば、面白い展開ができそうですね。

城市 その通りです。例えば、パリのデザイナーが作ったサンプルをZOZOTOWNで販売し、注文が入ったらデジタルプリントで製造する。あるいは、オーストラリアやアメリカのデジタルデザイナーの作品を日本向けにローカライズして展開する。プラザクリエイトの技術とBY THE PARKのノウハウを組み合わせることで、そんな可能性も見えてきています。

大島 従来のアパレル企業ではなく、新しいプレイヤーが市場に参入する。そんな時代が来そうだと感じています。今の既存のアパレル企業に向けてデジタルプリントを提案するよりも、むしろそういった新しい才能との出会いに可能性があると思いますね。

技術とノウハウを組み合わせ、可能性の拡大を図る

信頼を積み上げながら、夢を追求

今後の展望についてお聞かせください。

城市 プラザクリエイトという大きな組織に入り、まずは信頼関係を築いていくことが重要だと考えています。事業計画や予算は必ず達成する。その上で、新しいチャレンジをしていきたい。

新谷 その姿勢、とても共感します。私も大島から経営を託されて、まずは結果を出し続けることで信頼を積み上げてきました。今の自分の立場は、いわばステークホルダーとの信頼関係の積み重ねの結果なんです。

城市 そうですね。夢を語るだけでなく、まずは約束したことをしっかりと実行する。その信頼関係があってこそ、新しいチャレンジもできると考えています。

大島 お二人とも、しっかりとした軸を持ちながら、柔軟に挑戦を続けている。私に代わって次の時代のプラザクリエイトを作ってくれる。そんな若い世代に経営を任せられる私は、本当に幸せです。

バトンを繋ぎながら、プラザクリエイトは次なるステージへ

(第4回に続く)

(シリーズ全編はこちら)

(この特集のインタビュアー・執筆者)

いからしひろき

プロライター、日刊ゲンダイなどでこれまで1,000人以上をインタビュー。各種記事ライティング、ビジネス本の編集協力、ライター目線でのPRコンサルティング、プレスリリース添削&作成も行う。2023年6月にライターズオフィス「きいてかく合同会社」を設立。

きいてかく合同会社: https://www.kiitekaku.com/

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