【マガプラ座談会】プラザクリエイトの軌跡〜過去・現在・未来〜第2回:プラザクリエイトの現在ーそして、新たな挑戦

写真プリントチェーン「パレットプラザ」から、モバイルショップ、アパレル事業まで。時代の変化とともに進化を続けるプラザクリエイトグループの軌跡と未来像を、創業者と新経営陣が語る全4回の特別座談会。
第2回は代表取締役社長・新谷隼人氏が語る、新しい経営スタイルへの挑戦。リクルート出身の経営者が、なぜプラザクリエイトの舵取りを決意したのか。カリスマ創業者から、チーム型経営への転換を進める中で見据える、デジタル時代における成長戦略と、「信頼を積み上げる」新たな経営哲学に迫る。
参加者PROFILE

大島康広(おおしま やすひろ)
株式会社プラザホールディングス代表
プラザクリエイトの創業者。趣味は写真と旅行、ボート。

新谷隼人(しんたにはやと)
株式会社プラザクリエイト代表
2022年より36歳にして2代目社長に就任。趣味は、サウナとキャンプ。

城市 浩二(じょういち こうじ)
株式会社BY THE PARK代表
2016年にBY THE PARKを設立。2024年9月よりプラザクリエイトグループの一員に。
はじまりは、蕎麦屋での対話
まずは新谷社長がプラザクリエイトに入社された経緯からお聞かせください。
新谷 元々、リクルート時代の同僚だった女性執行役員の紹介で、大島と銀座の蕎麦屋で出会ったんです。当時は正直、プラザクリエイトという社名も、大島のことも、全然知らなかったんです。後から聞いて、多くの経営者の方からすれば「伝説の起業家」として知られる存在だと知りました(笑)
大島 そこがまず新鮮でしたよね。ああ、もうそういう世代が活躍する時代なんだと。
新谷 でも、知らなかったからこそ、かえって肩肘張らずに接することができたと思います。普通、上場企業の社長さんというと威圧感があるものなんです。でも大島は違って、すごくフラットにコミュニケーションができました。最初は証明写真ボックス事業の相談だけのつもりが、いつの間にか定期的に会うようになって…。
リクルートとは異なる組織文化
プラザクリエイトの印象はいかがでしたか?
新谷 最初に参加した会議が印象的でした。7、8人くらいの参加者がいたのですが、喋っているのは大島と外部のクリエイターだけ。社内のメンバーが誰一人口を開かないんです。リクルートでは考えられない光景でした。リクルートの会議では、全員が自分の意見を持って、それを主張することが当たり前だったので。
大島 確かにね(笑)。でも、その時の新谷さんは遠慮なく意見を言ってくれました。
新谷 ただ、その時に気づいたのは、プラザクリエイトには独自の組織文化があったということです。カリスマ的なリーダーがいて、その背中を見て皆が動く。それで会社は成長してきた。でも、これからの時代に向けて、何か新しい風が必要なのかもしれないと感じました。

自由な経営への期待
それで入社を決意されたわけですね?
新谷 いえ(笑)。最初は全然その気はなかったんです。というのも、当時のリクルートは営業利益率25%とか30%を目指す世界。一方、プラザクリエイトは実店舗を持つビジネスで利益率は5%程度。ビジネスモデルとしては、リクルートの対極にある会社で、自分に何ができるのか、いまいち想像できませんでした。
大島 でも、そういう率直な意見を言ってくれる彼の姿勢に、私は可能性を感じたんです。だから「思う存分、自由にやってくれ」と。
新谷 そうなんです。リクルートでは新規事業を立ち上げるにも、様々な決裁が必要でした。でも大島は「うちだったら全部任せる」と。その言葉に、ついついその気になってしまったのです。
大島 彼には、数字だけでは割り切れない感性があるんです。お客様が実際の場所で楽しんでいる姿を見て、心から喜べる。もちろんデジタル化で効率を上げることも大切ですが、リアルな空間づくりにも価値を見出せる。そういう両面を持っている人材だと感じました。
新谷 いや、私自身はそんなこと全然意識していなくて(笑)。ただ、大島から「新しいことをやってみないか」というお話をいただいて。最初から社長になるという話ではなく、次の時代のプラザを作る役割でよければとお引き受けしました。つまらなくなったらすぐ辞めようと……。

3つの柱で展開する事業戦略
それが、いつのまにか代表取締役社長に就任するまでになったというわけですね。現在の事業展開について教えていただけますか?
新谷 はい。写真プリントから始まった事業を、時代に合わせて進化させてきました。現在は大きく3つの事業の柱があります。まず、全国約170店舗のパレットプラザを展開するイメージング事業。写真プリントだけでなく、フォトブックやTシャツプリント、iPhone修理なども手がけています。次に、ソフトバンクやワイモバイル、楽天モバイルなどのキャリアショップを展開するモバイル事業。そして新しい取り組みとして、DIYキットブランド「つくるんです®︎」やグランピング施設「THE GLAMPING PLAZA」などを展開するソウゾウ事業があります。
大島 写真屋から始まって、ここまで事業を広げてこられたのは、新谷さんが時代の変化に柔軟に対応してきたからですね。
新谷 ただし、新しいことに挑戦する一方で、既存事業もしっかり守っていかなければなりません。今の役員の皆さんに既存事業を支えていただいているからこそ、私は新しいことにチャレンジできる。そのバランスがとても大切だと思っています。

BY THE PARKとの新たな出会い
そして最近、アパレルEC のコンサルティングを行うBY THE PARKさんもグループに加わられました。この経緯について教えていただけますか?
新谷 実は我々も以前からアパレル事業の可能性を探っていて、カフェとプリント工房を組み合わせた拠点「HATTO CREATIVE PLAZA」を作るなど、いろいろなテストをしていました。でも、事業として成立させるにはまだ足りないものがある。その中で、オンデマンドで商品を提案・販売していくノウハウは絶対に必要だと考えていました。
城市 私たちBY THE PARKは、まさにそのオンデマンドでアパレル商品を提案・販売する事業を展開していました。ちょうど次のステージに向けて、新たな資本や環境が必要だと考えていたタイミングだったのです。
新谷 M&Aについては、大島から紹介される案件を月に5社から10社くらいは見せてもらっています。ただ、正直なところ、あまり意味を感じられないケースも多くて……。
大島 せっかく提案しても、かなりの確率で却下されます(笑)。
新谷 でも城市さんの場合は違いました。まず人柄と価値観に惹かれたこと。そして、アパレル事業のDXという面で我々の目指す方向性とぴったり合致したこと。さらに企業規模感も含めて、本当にいいタイミングでの出会いでした。
城市 私も、プラザクリエイトグループの一員になることで、より大きな可能性が開けると確信しました。特に、全国のパレットプラザの店舗網やプリント技術との連携は、アパレル事業に新しい価値を生み出せると思っています。
大島 まさに今、プラザクリエイトグループは第二創業期を迎えています。新谷社長を中心に、城市さんのような新しい仲間も加わって、次の時代に向けた挑戦を続けている。私は、そんな若い世代の柔軟な発想とチャレンジ精神に大きな期待を寄せています。

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(この特集のインタビュアー・執筆者)

いからしひろき
プロライター、日刊ゲンダイなどでこれまで1,000人以上をインタビュー。各種記事ライティング、ビジネス本の編集協力、ライター目線でのPRコンサルティング、プレスリリース添削&作成も行う。2023年6月にライターズオフィス「きいてかく合同会社」を設立。
きいてかく合同会社: https://www.kiitekaku.com/