通訳・コーディネーター真鍋実恵さん×プラザクリエイト新谷社長 特別対談(第1回)Playtime Parisで感じた「物語のあるブランド」

ベビー・キッズブランドが世界中から集まる国際展示会「Playtime Paris」。2025年夏、プラザクリエイト代表の新谷社長は、この展示会を初めて訪れました。その現地アテンドを務めたのが、パリ在住の通訳・コーディネーターの真鍋実恵さん。
新谷社長は、真鍋さんに対し、「この人、ただ者じゃない」と強い印象を受けたと語ります。本企画では、そんな出会いから始まった二人の対話を通じて、展示会で得た気づきや、これからのブランドづくりのヒントを4回に渡って紐解いていきます。
第1回では、展示会の空気や人の熱量、ヨーロッパのブランドに込められた想いについて、日本とフランスの時差をものともせず、熱く語ってもらいました。
参加者PROFILE

真鍋 実恵(まなべ みえ)
大学卒業後、単身渡仏してパリ市内の服飾専門学校に通い、パタンナーとして複数のアトリエで修行する傍ら服作りを開始。その後自身のアパレルブランドを立ち上げる。現在はモード業界での経験を生かし、主にファッション系展示会での買い付けアテンドやリモートバイイング、企業の出展サポート・商談通訳等を行う。パリ郊外在住。

新谷 隼人(しんたに はやと)
株式会社プラザクリエイト 代表取締役社長
広告代理店勤務を経て、株式会社リクルートに転職し、3年連続でMVPを獲得。リテール新規開発グループやカスタマーサクセス領域にてマネージャーとして活躍。2019年に株式会社プラザクリエイトへ入社。取締役を経て、2022年より代表取締役社長に就任。
ただ者じゃない「レスの速さ」と「具体的なアウトプット」

実は真鍋さんと最初に出会ったのは、僕じゃなくて、うちの創業者・大島なんです。ベビー・ファミリー領域へのサービス拡充を進めることになり、彼がメゾン・エ・オブジェというパリ最大級の展示会に視察に行くことになりました。その時にロコタビ*で「服飾デザイナー”をしているパリ在住の日本人がいる」と、連絡を取ったみたいで。しばらくして、僕はその仕事を引き継いで、真鍋さんに調査をお願いしたんです。


*ロコタビとは
現地在住日本人(ロコ)と、旅行者をつなぐマッチングサービス。ロコが持っている知識や経験、能力をサービスとして提供することで、旅行者の今までできなかった『したい』を実現する。



そのレポートがすごくよくて。僕の要望なんて「いい感じのヨーロッパっぽいブランドを知りたい」くらいのざっくりしたものでしたけど(笑)、ちゃんと読み取って、具体的なアウトプットに落とし込んでくれていたんですよね。しかもレスポンスもすごく早くて。時差のある中でもやり取りのテンポがよくて驚きました。



人とのコミュニケーションが昔から好きなんです。依頼の裏側にある意図とか、そこを読み解くのが楽しくて。あと、私はフリーランスなので、一つひとつの仕事に真剣に向き合わないと次につながらない。そういう思いでいつも全力投球しています。「こういうことをやりたいんだけど」と曖昧に伝えられた時も、私なりに整理してご提案するようにしています。



「この人、ただ者じゃないな」と。次はぜひ現地で直接お会いしたいと思って。Playtime Paris*の視察にあわせて通訳とアテンドをお願いしたんです。
*Playtime Parisとは
ヨーロッパで最大級の子供服の合同展示会。毎年2回、パリで開催され、世界中のデザイナーやブランドが集まり、最新の子供服コレクションを発表する。




ヨーロッパの展示会は「なぜ作ったか」を語る場所



Playtime Parisの会場はヴァンセンヌの森。パリの東側・12区にある森林公園で、ジョギングする人やピクニックする人が多い気持ちのいい空間です。パリの西側・高級住宅街の16区にあるブローニュの森に比べると、より庶民的な雰囲気が漂っています。





まず「森の中でやっている展示会」という時点で、非日常感がすごい(笑)。空気もいいし、会場内のブースのデザインもおしゃれ。特にデザイナー本人が店頭に立って説明しているのが印象的でした。日本の展示会では社員が立っていることが多いけど、コンセプトの深いところまではなかなか説明できない。でも、パリではデザイナーの他にクリエイティブディレクターや社長が立っていることもあり、より深い話ができました。





商品の説明はもちろん、「どうしてこれを作ったか」「どんな思いでこの柄にしたのか」まで全部話してくれましたよね。たとえば「Tailored Stories」というブランドは、商品ごとにQRコードが付いていて、それを読み取ると、その服に込められたストーリーが読めるようになっていました。「このうさぎのぬいぐるみには、耳の色が違うきょうだいがいて…」みたいな、物語からクリエーションしていて、それが商品全体の“意味”になるという──。



日本の展示会ではあまりできない体験でしたね!







そういうストーリーの重みって、商品価値に直結すると思うんです。ただの“機能”じゃない、“想い”が詰まっているというか。



100%ポルトガル国内で作ってるブランドも印象的でした。「どこの工場で」「誰が縫って」まで把握していて、「それがブランドの誇りです」とはっきり言い切る姿勢が、とても清々しかったです。



ヨーロッパのメーカーは「スペック」ではなく「想い」で勝負していますから。伝える側も覚悟がいりますけど、それを聞くバイヤーの熱量も違う。だからこそ、真剣勝負の空気があるんです。



想いの強さは、オーガニックコットンなど環境に配慮した「製造方法」にも現れていましたね。あと、日本と欧州のブランドの「攻め方の違い」も感じました。たとえば日本だとミキハウスさんのように靴も服も全部やる。それはそれで素晴らしいのですが、ヨーロッパは「水着だけ」とか「帽子専門」とか、特化しているのが特徴的でした。







「これを作るためにブランドを作った」という原点があるんです。強みが何で、それを生かすには何ができるか。ビジネスとしてスケールさせるよりも“尖らせること”を大事にしているブランドが多い印象です。



そういう違いが生まれるのって、教育の影響も大きいんでしょうか?



ヨーロッパの教育は、「強みを伸ばす」が基本なんです。たとえばモンテッソーリ教育のように、絵が得意な子には絵だけ徹底的にやらせる。日本みたいに「苦手をつぶす」発想がないんです。評価も「できた・まだ途中」みたいに曖昧で、良いところはとことん伸ばしてくれる。「みんなと同じじゃなくてもいい」っていうのが当たり前なんです。



さまざまな国籍の子がいるフランスならではですね。日本は島国でほぼ同じ民族だから、どうしても「オール5」を目指してしまう。でもそうではない、フランスらしさがよく出た、今までの私の展示会のイメージを打ち破る、いい意味で想定外のイベントでした。
(この記事の取材・執筆者)
綾部まと
三菱UFJ銀行の法人営業、経済メディア「NewsPicks」を運営するユーザベースのセールス&マーケティングを経て、独立。フリーランスのライター・作家として、インタビュー記事、エッセイやコラムを執筆。フランス・パリ近郊の町に在住。3児の母。趣味はサウナと旅行。
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