【マガプラ探偵団#2】写真フィルムの「ネガ」と「ポジ」ってなに?

アイキャッチ画像(マガプラ記事no.47用)ネガとポジの違い

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最近、フィルムカメラにハマる若い人が増えていますよね。インスタグラムでも「#フィルム写真」というタグをよく見かけます。フィルム写真は、デジタルにはない独特の風合いが魅力的。

そんなフィルムには、主に「ネガ」と「ポジ」の2種類があるってご存知でしたか?

今回のマガプラ探偵団では、フィルムカメラの魅力を探りながら、「ネガ」と「ポジ」それぞれの特徴を調べてみました!
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ネガとポジは「フィルム」の種類のこと

こんにちは。ライターの冨田はるみです。昭和生まれの私にとって、フィルムカメラは子どもの頃から身近な存在でした。

撮影が終わると、カメラのネジを巻いてフィルムを巻き取り、「ネガ終わったよ!」と母に渡していた記憶があります。当時はフィルムを「ネガ」と呼んでいました。そして、「ポジ」というフィルムがあることは、大人になってから知りました。

フィルムカメラのイメージ
「ネガ」と「ポジ」ー形状に大きな差異はないため、ラベルで判断することが多い

ここで簡単に、フィルムカメラの原理を説明しましょう。

フィルムカメラは、本体内部に「フィルム」という、光を受けると化学変化を起こす特殊な素材をセットして撮影します。シャッターを押すとその一瞬だけフィルムに光が入り、日焼けのような現象を起こして画像が記録されるしくみです。 撮影したフィルムを化学薬品に浸して、画像を見られる状態にすることを「現像」といいます。この工程を経てプリントすると、わたしたちが普段目にする「写真」になるのです。

「フィルム」をセットして撮影し、
撮影後のフィルムを「現像」することで、
写真プリントのイメージ画像
写真プリントを経て「写真」が完成

ネガとポジの仕組みの違い

ネガ

そんなフィルムで最も一般的なのがネガフィルムです。“エモい写真が撮れる”と若い人たちの間でトレンドの「使い捨てカメラ」にも、やはりネガフィルムが使われています。

ネガフィルムは、名前の通り「ネガティブ=陰」の性質を持つ、ちょっと不思議なフィルムです。なぜなら実際に見ている風景の色や明るさが、反対の状態で記録されるからです!

そのしくみはこうです。

写真を撮るとシャッターを押した瞬間、外の光がレンズを通してネガフィルムに届きます。この「光を入れる」という作業を、写真用語では「露光(ろこう)」とよびます。

ネガフィルムの表面には光を感じる特殊な薬剤(感光剤)が塗られていて、この薬剤が光と出合うことで、画像が記録されます。

この時、ネガフィルムはどのようになるかというと……

⚫︎光が当たった部分(明るい場所の人や物)

→ フィルムは黒くなる

⚫︎光が当たらなかった部分(暗い影の中の人や物)

→ フィルムは透ける

つまり、私たちの目で見ている世界とは、色や明るさが「裏返し」のような状態で写るわけです。この裏返しのネガフィルムを、さらに特殊な紙(印画紙)にプリントすると、私たちが普段見ている写真になります。

POINT 

黒い部分(光が通りにくい)→ 印画紙に光が当たりにくい → 印画紙はっぽくなる

透けた部分(光が通りやすい)→ 印画紙に光が当たる → 印画紙はっぽくなる

この「もう一度の反転」によって、最終的に現実と同じような明るさの写真が完成するのです。カラーフィルムの場合は、薬品処理によって元の色を再現します。

薬品処理によって元の色味を再現する

ポジ

一方、ポジフィルム(陽画)は、撮影したそのままの色で写ります。青空は青色、木は緑色、見たままを画像として残せるのです! 

ネガフィルム(陰画)とは正反対なので、フィルムには見たままの色合いで投影されます。

ポジフィルム(リバーサルフィルムとも呼ばれる)

……じゃあ、ネガとポジは、どうの使い分けられるのでしょう?それは、撮影の目的によって変わります。

ネガは日常使い、ポジはプロ仕様

ネガ

ネガフィルムは、現像からプリントするとき、さまざまな調整ができます。たとえば、暗すぎる写真を明るくしたり、青っぽい色味を暖かみのある色に寄せたりと、後から写真の雰囲気を変えられるのです。

つまり、失敗してもある程度調整できるので、特別な技術がなくても心配いりません。たとえるなら、ネガフィルムは「優しい先生」。多少のミスなら許してくれます。だから、使い捨てカメラなど、一般の人向けのカメラによく使われてきたのです。

ポジ

一方、ポジフィルムは、被写体そのものの姿を写し取るフィルムです。明るい部分と暗い部分がはっきりと写るため、くっきりと鮮明で力強い印象の写真になります。

ただし、シャッターを押した後での修正はできません。撮影前に、明るさや色彩、被写体とのバランスを調整し、ベストタイミングをとらえる必要があります。

たとえるなら、ポジフィルムは「厳しい先生」。技術の正確さを求めます。だから雑誌の表紙やファッション撮影、アート写真など、プロフェッショナルな現場で使用されています。

こだわりを持つプロに愛用されているフィルムなので扱いが難しいです。でも、完璧に撮れた時は「これぞプロの写真!」 と言える、美しい写真に仕上がります。

特徴比較

ネガフィルムの特徴ポジフィルムの特徴
フィルムからペーパーへの焼き付け工程が必要
光がぼやけた場合でも色補正が簡単
元の写真を維持するアーカイブとしての価値もある
フィルム1本の単価が低い
撮影するタイミングで色合いやコントラストを調整する必要がある
フィルム現像後、それで完成品となる
プロ向けのカメラフィルムだと言える
ネガと比べると割高

撮る目的やシーンに合わせて使い分けてみよう!

まとめると……。

ネガフィルムは失敗を恐れなくてもいいので、旅行や日常生活の記録など、たくさん撮りたい時に向いています。一方、ポジフィルムは撮影こそ難しいですが、うまくいけば力強く鮮やかな写真に仕上がります。

写真を撮る目的やシーンに合わせてフィルムを使い分ければ、きっと表現の幅が広がりますよ! デジタル時代の今だからこそ、“エモい写真”が撮れるフィルムカメラの魅力に触れてみませんか?

(この記事を執筆した人)

冨田はるみ
岐阜県出身、愛知県在住。中小企業のバックオフィスを担う傍ら、ライターとして経理や労務などのビジネス系記事などを執筆。これまでに企業のオンドメディア向けコンテンツのコラムや取材記事を150本ほど作成。優れた中小企業が多い愛知県で暮らしながらその心意気や繊細な技に数多く触れ、あふれる魅力を「ぜひ全国に発信したい!」という想いから、ブックライターを目指して活動している。

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