“映え”より”ストーリー”! 3児のママがチャレンジする家族自慢フォトコンテスト(後編)

3児の母であるライターが、パレットプラザ主催「みんなの家族自慢フォトコンテスト」への応募を挑戦する様子をお届けする前後編シリーズの後半戦です。
スマホの中の一枚の写真が、とある人物との確執を思い出させ、テンション急降下の筆者。一時は応募を躊躇してしまいます。重い気持ちを振り切って締切ギリギリで応募したものの、果たして結果はどうなるのでしょうか? そして家族写真を通して気づいた、人との付き合い方とは──。
因縁の写真に全身が凍りつく!
パレットプラザの「みんなの家族自慢フォトコンテスト」に応募するためにフォトアプリを見ていた私は、ある一枚の写真を見て、全身が凍りついた。そこには親戚のAさんが写っていたからだ。
Aさんと私は関係が最悪だ。それは今年に入ってから起きた、ある事件がきっかけだ。本人にこの記事を見られている可能性もあるからぼかして書くが、私がSNSで書いた内容を、彼はどうやら気に入らなかったらしい。
その投稿は、私がAさんを遊びに誘った時に起きた一連の出来事についてだった。私は彼がSNSを見ていることは知らなかったから「勝手に見る方が悪いでしょ」と反発し、以降冷戦状態になっている。
でも、3年前に撮られたこの写真の中では、二人とも楽しそうに笑っていた。
そうだ。この時のAさんは面白い本を教えてくれたりして、この人が親戚にいて本当に良かったと思っていたんだ……。
なんだかテンションが下がってしまって、私はそっとスマホのフォトアプリを閉じた。
それ以来、私はスマホの写真を見るのをやめていた。フォトアプリを開くと、また親戚Aさんの顔が飛び込んできそうだったからだ。
そうこうしている間に、フォトコンの締切が近づいてきた。写真を選ぼうと思いつつ、できないまま時間だけが過ぎていった。
やばい、締め切りまで残り1日だ……
応募開始から1ヶ月ほどたったある日、外部編集長から連絡が入った。

早めの応募でアクリルスタンドが当たるスピーディーファミリー賞の結果がそろそろ出るころだと思うんですが、連絡きましたか?
日付を確認すると、最終締め切りまで残り1日である。これはまずい。すでに前編(『映え”より”ストーリー”! 3児のママがチャレンジする家族自慢フォトコンテスト(前編)』)を書いている以上、「筆者の都合で後編はナシ!」なんてことにはできない。
スピ-ディーには応募できませんでした! そもそもまだ応募していません!──なんて口が裂けても言えなかったので、「まだ連絡が来てないですねえ」ととぼけて言って(嘘はついていない)電話を切ると、慌てて写真の選定に入った。
スマホのフォトアプリをスクロールしながらこれぞという写真を漁っていると……出るわ、出るわ、数々のベストショット。ああ、あんなこともあった、こんな所にも行ったと家族の思い出が鮮明によみがえる。
さらに、この写真は『仲良しファミリー部門』だなあとか、『ほのぼのファミリー部門』にピッタリとか、どの部門に応募しようかと考えながら選ぶのも楽しい。
気づけば夜が更けていた。
これは応募部門が5つじゃ足りないぞ!と嬉しい悲鳴を上げながら、次女がリビングでサングラスをかけている写真を「おもしろファミリー部門」、家族でアスレチックに挑戦した写真を「アウトドアファミリー部門」、近所の公園でマシュマロを焼いている写真を「仲良しファミリー部門」、石垣島へ行った時の写真を「ほのぼのファミリー部門」に応募した。応募は「みんなの家族自慢フォトコン2024」と部門の名前をハッシュタグでつけて、自身のInstagramに投稿すればOKだ。
私は確信した。
受賞間違いなしだと。
受賞したら──しかも複数部門を同時受賞しちゃったら──ヤラセと思われるかもしれないからこのエッセイに書きづらいな……。でも賞品のフォトフレームはどこに飾ろうかな……など取らぬ狸の皮算用をしながらその日は眠りについた。
他の応募者のレベチな写真に愕然!
しかし、幸福感は長くは続かなかった。
翌日の夜、子ども達が寝てから私はいつものようにベッドの上でInstagram を開いた。他の人達はどんな写真を応募しているか気になったからだ。
「え、何これ……」
私は他の応募写真を見てまたまた凍りついた。そこにはプロレベルの写真が並んでいたからだ。


運営側が投稿した見本写真じゃないのか?と疑ってアカウントを確認すると、正真正銘一般応募の写真だった。私は外部編集長に連絡をとった。



編集長、まさかと思うかもしれませんが、私の受賞は難しいかもしれません! 他の応募者たちのレベルが違いすぎます……



そ、そうなんですね(そんなに自信あったの!?)。まあ、とにかく結果発表を待ちましょう
なぜ私は一般の人の写真がここまでレベルが高いことを知らなかったのか。
実は、私はInstagramで育児アカウントを一切見ないようにしていたのだ。だって「あそこの家は家族でハワイに行ってるのにうちは家でYouTubeを見せてるだけ……」と落ち込むことが多かったからだ。住んでいる場所が近かったり、子どもの年齢が近かったりするほど、その「日常の写真」は私の心をざわつかせた。
でも今回応募してみて驚いたことがある。他人の家族写真ってすごく癒される。
矛盾しているようだが、理屈はこうだ。
近しい知り合いの家族写真は「うちの家族は……」と比べてしまうけど、知り合いではないフォトコン応募者、つまり「遠い人」なら「わあ、良い写真だな。仲良し家族だな」と素直に感動できる。
そう、距離感の問題だ。
もしかしたら──と私は思った。
私とAさんは、お互いの距離を無理に近づけようとしていたのかもしれない。Aさんは私のSNSを見ることで、私はAさんを遊びに誘うことで。でもそこには無理があった。だから歪みが生じて、トラブルが起こった……。
そんな重苦しさを心に抱えながら、ついに結果発表の日を迎えた。
ついに結果発表。目を釘付けにした1枚とは?
当然のことながら、落選していた。
でも、パレットプラザ公式Instagramのストーリーで「応募写真」として紹介してもらっていた。これは嬉しい。たくさんの猛者の中から選んでもらったという事実に「あれ、私って写真が下手だと思ってたけど、意外とそうでもないのかも」と少しだけ自信がついた。


さて、当選した写真はどんなかな?──見ていくと、やっぱりどれも上手で、目を惹きつけられる。そして、幸せそうな笑顔があふれていて、私は思わず泣きそうになった。












その中の一枚に、私の目は釘付けになった。


「スピーディーファミリー賞」にランクインしていた写真だ。男の子が“ハッピーバースデー”のロゴを模ったサングラスをかけている。彼の両側には、祖父母であろう男女がいて、とても幸せそうだ
私は色違いの同じサングラスを持っている。不思議な縁を感じたせいか、ふと親戚Aさんに連絡しようかなと思った。
今まで苦手だと思っていた“他人の家族写真”も少し離れた人のものなら見て癒される──こんなふうに少し距離を置いて、客観的に喧嘩の原因や関係性を捉え直すことができれば、因縁の親戚とだってこんな幸せそうな写真が撮れるのかもしれない。
ささくれだっていた私の心が、癒されていくのを感じた。
そうだ、年末年始の挨拶がてら、久しぶりにAさんにLINEしてみよう。確か年明けには彼の誕生日が来る。あのサングラスをかけてあげて、親戚みんなで写真を撮ったら喜ぶだろうか。
コンテストは残念ながら落選してしまったが、他人の家族や親戚との付き合い方のヒントを学ばせてもらった気がする。
次はAさんも一緒に写っている写真を投稿して、ぜひとも入賞したい!
(シリーズ前編はこちら)


受賞結果が紹介されているパレットプラザ公式Instagramはこちら!
(この記事の著者)


綾部まと
ライター・インタビューライター。メガバンク法人営業、経済メディアのセールス&マーケティング部門を経て独立。マネー・キャリアなどのビジネス分野からライフ・恋愛分野まで幅広く手がける。媒体は「日刊SPA!」(扶桑社)、「ASOPPA!」(フレーベル館)、「集英社オンライン」(集英社)他。
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