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プラザクリエイト〈クロスセルプロジェクト〉舞台裏【前編】:「垣根を超えろ」法人事業本部、3年越しの本気

目次

写真プリント店から出発したプラザクリエイトは、モバイル事業、法人向けプリンター、コワーキングボックス……と時代の波に乗りながら多角化を重ねてきた。
だが成長の裏で生まれていたのは、部署ごとに完結した「縦割り文化」だった。

同じ法人事業本部の中でありながら、隣の部署が何を売っているかも知らない。声もかけない。評価制度もバラバラ。
そんな状況を変えようと2023年頃に火がついたのが、法人事業本部クロスセルプロジェクトだ。
約2年にわたる試行錯誤を経て、2025年7月に始動した現行チームが静かに、しかし確実に、組織の景色を塗り替えはじめている。


登場人物

山﨑 健一やまざき けんいち

株式会社プラザクリエイト
法人事業本部 法人営業部 楽天G マネージャー

雨宮 弘直(あめみや ひろなお)

株式会社プラザクリエイト
法人事業本部 プロダクト営業部 グラシス営業G

神山 彰規かみやま あきのり

株式会社プラザクリエイト
法人事業本部 プロダクト営業部 One-Bo営業G マネージャー


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法人事業部の「起点」——モバイルのおまけから始まった

プラザクリエイトの法人事業本部が産声を上げたのは、今から6〜7年前のことだ。
メンバーはわずか5名。当初の主軸はモバイルの店舗事業であり、法人名義で回線を取得すると一般ユーザーへの販売より利益率が高い——そこに目をつけたのが出発点だった。

山﨑

最初はモバイルだけ売れていればよかったんです。

と振り返るのは、
2025年春に法人営業本部へジョインし、現在クロスセルプロジェクトを推進している山﨑健一だ。

山﨑

でもコロナ禍で店舗事業が厳しくなる中、
新しい柱を作っていこうという流れが生まれて、
商材がどんどん増えていきました。


法人向けカードプリンター「GRASYS」(病院の診察券やIDカードを印刷できる)、証明写真ボックスの技術を活用したコワーキングボックス「One-Bo」など、次々と独自商材が生まれた。

現在の法人事業本部には、法人モバイル回線、法人向けIoTデバイス、GRASYS、One-Bo、OEMグッズ、楽天ショップ運営など、多様な事業群が同居している。

法人向け商材は次々と拡大

商材が増えるほど、部署の距離も遠のいた

成長とともに生まれたのが、「商材ごとの専門部署」という構造だった。それぞれが自部署の売上を追う中で、気づけば部署間のコミュニケーションはほぼ皆無という状態に陥っていた。

山﨑

隣の部署が何をやっているか、
どんな商品を扱っているかも知らない。


それが当たり前になってしまっていました。

と山﨑は言う。

評価制度も自部署の担当商材のみに紐づいており、他部署の商材を紹介しても自分の評価には反映されない。
クロスセルへのインセンティブが制度的に働きにくい構造だった。

山﨑

一人の担当者が自分の商材だけを提案先に紹介するのは、
もったいない。
全員が全部の商材を紹介できれば、
成約数は3倍にも5倍にもなる。

——この単純な理屈が、なかなか実現できなかった。

プラザクリエイトの多くの事業を経験してきた山﨑さんは、会社の文化をよく知る。
現在のプロジェクトの推進役を担う。

プロジェクトの歩み——2023年から現在まで

まず、これまでの経緯を時系列で整理しておきたい。

第1チーム(2023年頃〜)

「他の商材を紹介して成約したらインセンティブを出す」というトップダウン施策がスタート。

ただし複数の施策が個別に動いており、現場への浸透度は低いまま。
やる人はやる、やらない人はやらない——二極化が続いた。

第2チーム(〜2025年春)

より組織的にアプローチするため、「エンゲージメント向上チーム」「クロスセル推奨チーム」の二本柱で体制を組んだ。

社員同士の会話のきっかけとなるトレーディングカードの制作、表は通常の名刺・裏面に趣味や特徴を記載した「ハイクラス名刺」の導入、手伝いへの感謝をアプリで可視化する取り組みなど、ユニークな施策を打ち出した。

前プロジェクトから参加している雨宮弘直はこう振り返る。

雨宮

エンゲージメントチームとクロスセル推奨チームが、連携できていませんでした。

5人が動いても全体には伝わらなかった。

なぜやらなければいけないのかが伝わっておらず、どうやっていいかもわからない状態でした。

ただ、前プロジェクトがまったくの無駄だったわけではない。

雨宮

当時は各商材チームが完全に孤立していて、
横の会話も商品知識もゼロという状態でした。

エンゲージメント施策で横のつながりの土台だけはできた。
今の取り組みは、その土台の上に乗っています。

前プロジェクトから参加している雨宮さん。

「ゼロベースで作り直す」——第3チーム始動

転機は2025年春、山﨑が法人営業本部へジョインしたことだ。
それまでほぼ全部署を経験してきた山﨑は、俯瞰的な視点から問題の本質を見抜いた。

山﨑

これは法人事業本部だけの課題じゃない。会社全体の根本的な問題です。

パレットプラザ、モバイル事業、コンシューマー部門……それぞれが何をやっているかわからないし、コミュニケーションも一切ない。もうそれでいいんだという文化があった。

法人営業本部に来たら、その同じことがさらに細分化された中で起きていた。

本部長と「うちの商材はうちのメンバー全員が紹介できないといけない」という方向性で合意した山﨑は、まず「なぜ2年間うまくいかなかったのか」を徹底的に掘り下げることから始めた。
10名の営業メンバーをピックアップしてヒアリングを実施。そこから出てきた声は、正直かつ痛烈だった。

「インセンティブの条件が複雑すぎてやる気が出ない」

「金額がはっきりしないのでモチベーションにならない」

「ランキングや表彰など、目に見えるものが欲しい」

「お金を出すために条件が厳しくて、金出したくないんじゃないかと思ったらもうやる気なくなる」

プロジェクトで課題整理を進めた

基本的な課題が、投げっぱなしになっていた。
山﨑はこれらの声を全て施策に反映することを決め、メンバーに宣言した。

「始める前に、皆さんからもらった意見は全部取り入れると決めた。
その上で、これは会社として成長するため、そして皆さんのスキルのためにある方がいいものだ、ということを理解してもらいたい」

先入観のない自分と、やる気のあるメンバーだけで、ゼロベースから作り直す——こうして2025年7月、現行の第3チームが正式に始動した。


プロジェクトの全体像——3チームで挑む

現在のプロジェクトは3つのチームで構成されている。

まず「ツール制作チーム」。営業が顧客への提案で使うデザイン資材を制作する部隊だ。
次に「知識研修チーム」(リーダー:雨宮)。自分の専門外の商材についての基礎知識を習得するための研修の場を提供する。
そして「情報配信チーム」。取り組みの成果やナレッジを社内で発信し、モチベーションを維持・底上げする役割を担う。

全体リーダーを務めるのは、ちょうどプロジェクト始動と同じタイミングで入社した神山彰規だ。
新鮮な目線でプロジェクトに参加した神山はこう語る。

神山

フラットに見て、いろいろな商材があるなら、お客様のニーズに合わせておすすめできるなと思っていました。

武器がたくさんあるなら、その武器をおのおのが武器として認識して生かしていく。
それがプラザとしての価値にもなるし、各営業メンバーの強みにもなる。

新プロジェクトチームの全体リーダー神山さん。
プロジェクト慣れしていないメンバーへも、理解しやすくまとめられた資料

2023年の最初の取り組みから数えると約3年。
2つのチームが積み重ねた試行錯誤の上に立った現行チームが、後編で紹介する具体的な施策によって、組織を着実に変えはじめている。

(後編へ続く)

(記事執筆)

著者近影

いからしひろき
プロライター、日刊ゲンダイなどでこれまで1,000人以上をインタビュー。各種記事ライティング、ビジネス本の編集協力、ライター目線でのPRコンサルティング、プレスリリース添削&作成も行う。2023年6月にライターズオフィス「きいてかく合同会社」を設立。きいてかく合同会社: https://www.kiitekaku.com/

(編集・デザイン)

西岡明子
株式会社プラザクリエイト/入社以来、主にパレットプラザの商品・サービス・販促・店舗内装のグラフィックデザイン各種を担当し、2018年より展開のDIYキット「つくるんです®」ブランドの拡大に従事。また、フォロワー数1.6万を超え「つくるんです」公式Xを開設から2025年10月まで担当。入社約30年の長い社歴を生かした目線でマガプラを盛り上げるべく2025年10月よりマガプラの3代目編集長となる。

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