所沢テクノセンター探訪:【第4回】キーマン座談会「所沢から挑む、法人営業の未来」

所沢テクノセンター探訪特集の締めにお届けするのは、キーマンによる座談会。それぞれ異なる専門性を持ちながら、同じ目標に向かって歩む3名が登場します。
「縁の下の力持ち」から「価値創造の拠点」へ――第2創業期を迎えたプラザクリエイトで、この拠点が果たす役割とは何か。率直な言葉で語り合いました。
登場人物

牧 由尚(まき よしなお)
株式会社プラザクリエイト執行役員・営業本部長

澤田 耕治(さわだ こうじ)
株式会社プラザクリエイト営業本部 プロダクト営業部部長

雨宮 弘直(あめみや ひろなお)
株式会社プラザクリエイト営業本部 プロダクト営業部 グラシス営業G所属
「ネガティブから始まる話」の意味
座談会は、牧さんの意外な言葉から始まりました。
ポジティブな話もあるんですが、まずネガティブな話からさせてください
所沢テクノセンターには、店舗での接客業務よりも、作業や施工に向いている社員が集まってきた歴史があるといいます。
営業会社、企画会社というイメージがある中で、そうじゃない人たちがここに集まってきたんです


出店コストを抑えるため、閉店コストを抑えるため――その目的で作られた施工チーム。パレットプラザが1000店舗から200店舗を切るまでの過程で、ここは閉店作業の最前線でした。
800店舗分の閉店に、ここが携わってきたんです
倉庫には、閉店した店舗から引き上げた資材や、新規事業で試したもののうまくいかなかった機材が積み上がっていました。
写真機とか、巨大なプリンターとか、One-Boの試作機とか。いろんなものがバラバラに3つの倉庫に分かれていました
昨年、牧さんは1年かけて、それらをすべて整理。
お金を生まない状態なのに、倉庫代を払い続けていた。それを全部処分して、ここに集約したんです
転機をもたらした「価値の発見」
しかし、この「負の歴史」こそが、今の転機につながっています。
施工の経験を持った人たちがいる――これが実は価値なんだと気づいたんです
店舗の出店・閉店で培った電気工事、壁紙の張替え、床の施工といった技術。それが今、外部企業からも求められ始めています。
昨年、大阪メトロさんから改札設置工事を受注しました。職人不足で困っている企業が多い中、プラザクリエイトにそういう人材がいるということで白羽の矢が当たったのです
これが、所沢テクノセンターにとっての大きな転換点でした。
「コスト削減のための内製化」から「技術と経験を売る事業化」へ。縁の下の力持ちが、ついに日の当たる場所に出てきたのです。
One-Bo事業の急成長と課題
澤田さんが担当するOne-Bo事業は、まさにこの拠点の成長の象徴です。
発売5年目で、最初の3年は正直厳しかったです。でもここ2年で急成長して、前期は初めて黒字化しました。年間550台を販売しています
コロナ禍でのオンライン会議需要に加え、オフィス回帰によって新たなニーズが生まれました。
オフィスに人が戻ってきた。オンライン会議も増えている。そのギャップを埋めるのがOne-Boなんです
ただし、課題もあります。
オフオンライン会議用のブースとしての需要は一巡しつつあります。これから先を考えると、新しい使い方、新しい商品開発が必要です


澤田さんが注目しているのが、仮眠用ブース。
企業が従業員の健康を考えて、適度な仮眠を推奨する。そのためのスペースとして、One-Boを提案できないかと考えています
さらなる展開として、施工チームのメンバーは今、CADの資格取得に挑戦していることも話してくれました。
店舗施工の技術だけでは、外部から仕事を受けるには足りない部分があります。そこで、設計図面を描けるようになろうと
One-Boを設置する際、オフィス全体の改装を提案できれば、ビジネスの幅が大きく広がります。
個室ブースだけでなく、オフィス全体の最適化を提案する。そこまでできる企業になりたいんです
通常のメーカーにはできない強み
牧さんが強調するのは、プラザクリエイトならではの強みです。
オフィス家具メーカーは、製品の運搬・設置を外注します。でも、うちは違う。自社スタッフが直接トラックで運んで、その場で組み立てるんです
これは単なるコスト削減ではありません。
お客様に『業者じゃなくて、うちの社員が行きますから』と言える。何かあってもすぐに対応できる。この信頼関係が、営業の武器になるんです
店舗経営で培った現場力が、法人営業で活きている――それが、プラザクリエイトの独自性です。
施工だけじゃない。雨宮の映像技術も、価値になります。商品の魅力を動画で伝える。遠隔でデモンストレーションする。こういうことができる企業は、そう多くありません


東所沢チームの業務改善ミーティング
3名は定期的に「東所沢チーム」として、業務改善のミーティングを行っています。
自分たちが課題だと思うことを、Excel上に並べて優先順位をつけるんです
倉庫の整理整頓、施工技術の向上、新規事業の提案――さまざまなテーマが挙がります。
その中で、『パレットプラザは最近閉店ばかりだけど、本当は出店の仕事がしたい』という声が出てきました。それなら、外部の仕事を取ってこようと動いたんです
この自主的な改善活動が、大阪メトロの案件につながりました。
現場の声を汲み取って、それを実現する。それが、チームの成長につながっています
牧さん、澤田さん、雨宮さん――3名がこの拠点にいることの意味を、牧さんはこう説明します。
私は営業戦略を考える。澤田は製品を知り尽くしている。雨宮はAIや映像の技術を持っている。この3名が同じ場所にいることで、アイデアがどんどん生まれるんです
実際、座談会の中でも、新しい提案がいくつも飛び出しました。
「One-Boの中から配信して、遮音性を実証する動画を作れないか」
「地方のお客様に、遠隔で製品の良さを伝えられないか」
「オフィス改装全体を提案できるようにならないか」


本社にいたら、こういう会話は偶然には生まれません。でもここでは、自然に起こる。それが、この拠点の大きな価値だと思います
こんな人と働きたい
最後に、これからますます重要な役割を担うであろう所沢テクノメンバーの、新たな一員に求める人物像についてお聞きしました。
施工経験がある方、設計関連のスキルを持っている方を、ぜひ迎え入れたいです。現在は施工チーム4名、ドライバー2名の計5名体制ですが、外部案件が増えれば、人手が足りなくなりますからね
映像制作や配信に興味がある方、AIに関心がある方。一緒に新しいことに挑戦できる仲間がいたら嬉しいです
「プラザが好きな人」です。「この会社のため、仲間のために何かしたい」と思える人。それが一番大切だと思います
所沢から未来へ走る
座談会を通じて見えてきたのは、所沢テクノセンターが単なる作業拠点ではなく、プラザクリエイトの第2創業期を象徴する場所だということです。
「縁の下の力持ち」として、コスト削減のために働いてきた人たち。しかし今、その技術と経験は、新しい価値を生み出す源泉になっています。外部企業からの施工受注、One-Bo事業の急成長、AI・映像技術の活用――すべてが、ここから始まっています。
牧さんの言葉が印象的でした。
「ここにいる一人ひとりが、もっと自分たちの価値に気づいて、それを磨いていく。そうすれば、自然と会社全体が成長していくんです」
名前はいずれ変わるかもしれません。しかし、ここで働く人々の情熱と、この拠点が持つ可能性は、これからさらに大きく花開いていくでしょう。
プラザクリエイトの未来は、所沢から始まっています。
【編集後記】
4回にわたってお届けした「所沢テクノセンター特集」、いかがでしたでしょうか。
取材を通じて感じたのは、この拠点が持つ「隠れた力」の大きさでした。One-Boの組立現場、GRASYSの営業活動、雨宮さんの配信スタジオ、そして3名のキーマンの熱い想い――そのすべてが、プラザクリエイトの新しい未来を切り拓いています。
「社員も知らない拠点」から、「誰もが注目する拠点」へ。所沢テクノセンターの進化は、まだ始まったばかりです。
(おわり)
(この特集の取材・執筆者)


いからしひろき
プロライター、日刊ゲンダイなどでこれまで1,000人以上をインタビュー。各種記事ライティング、ビジネス本の編集協力、ライター目線でのPRコンサルティング、プレスリリース添削&作成も行う。2023年6月にライターズオフィス「きいてかく合同会社」を設立。
きいてかく合同会社: https://www.kiitekaku.com/
(撮影者)
(企画・編集・デザイン)


大宮光
株式会社プラザクリエイト・マガプラ2代目編集長














