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所沢テクノセンター探訪:【第3回】配信スタジオの舞台裏――未来型ワークプレイスから広がる可能性

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所沢テクノセンター2階の奥に、一つの扉があります。
「自分の部屋を持っているのは、社内では私と社長くらいじゃないでしょうか」と冗談めかして笑う雨宮さん。その扉の向こうには、カメラ3台、照明、スイッチャーを備えた本格的な配信スタジオが広がっていました。

AI研修からオンラインセミナーまで、この小さなスタジオから生まれるコンテンツが、今、プラザクリエイトの未来を変えようとしています。
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倉庫の一角から始まった挑戦

最初は倉庫の中に作業スペースを作ってのスタートでした。でも、夏は暑いし冬は寒いしと作業に集中できない環境で

雨宮さんがスタジオ作りを始めたのは、約3年前。きっかけは、コロナ禍でのコールセンター構想でした。

1階倉庫から2階に向かいます

遠隔でお客様にデモンストレーションできないか、という話があったんです

GRASYSのカードプリンターを遠隔で説明するため、カメラを設置し、切り替えながら配信する――そこから、すべてが始まりました。

すべて独学で調べながら、継ぎ足し継ぎ足しで、少しずつ機材を増やしていきましたね

そう話す雨宮さんが開いた扉の先に広がるのは、倉庫内の一部屋とは思えない程の立派なスタジオ。現在はカメラ3台、モニター3台、照明機材、スイッチャーが完備されているそうです。

ここが雨宮さんの城

配信ソフトはOBS(Open Broadcaster Software)を使用。多くのYouTuberが使う無料ソフトですが、プロ並みの配信が可能です。編集にはAdobe製品を活用し、クオリティの高いコンテンツを制作しています。

生成AI研修からクロスセルプロジェクトの支援まで

昨年(2024年)夏、雨宮さんはこのスタジオで大きな挑戦を始めました。生成AI研修の配信です。

生成AIが話題になり始めたとき、『これからはAIの時代だ』と感じたんです。それで、まずは法人事業本部内向けにAIの基礎を伝えるオンラインセミナーを企画しました

AIの基本からビジネス活用までの全6回を、テーマ設定から制作まで全て雨宮さんが手がけたといいます。

オープニング映像も、生成AIで作りました。社員の写真をもとに、AIが動画を生成してくれるんです

そこからさらに発展した取り組みとして進められているのが、クロスセルプロジェクトの商品紹介動画です。

法人営業本部では、One-Bo、GRASYSなど、その他にも多くの商材を扱っています。種類が豊富だからこそ、営業担当がすべての商品に精通するのは現実的に難しいところがあります

そこで、各商材の魅力を短い動画にまとめ、誰でも説明できるようにする――それがこのプロジェクトの狙いです。

One-Boについても、対談形式の解説動画を制作しました。製品の特徴だけでなく、どんな企業に向いているのか、どんな課題を解決できるのかまで、わかりやすく伝えています

これらの動画は、社内のLINE WORKSで共有され、いつでも視聴可能な環境に。営業活動の前に見て予習したり、お客様との商談で使用されるなど、営業メンバーを支える心強いツールとして活用されています。

社外オンラインセミナーの配信成功で掴んだ確信

このスタジオの真価が発揮されたのが、社外向けオンラインセミナーだったと雨宮さんは振り返ります。

取引先の方々をお招きして、セキュリティに関するオンラインセミナーを開催したんです

そう言って見せてくれたのは、開催時の記録映像。画面には、各社からの登壇者が並ぶ様子が映し出されています。これを、セッティングから配信まで全て雨宮さんが一人で担当したというから驚きです。

照明も全部自分で設置しました。登壇者がどう映るか、背景がどう見えるか、すべて計算して配置しています

照明配置やセッティングなどを前日までのリハーサルで整え、当日はカメラの切り替え、音声のミキシング、配信の管理――すべてを同時進行で行います。

カメラを切り替えるスイッチャー
何度もデモンストレーションを重ねたそうです

一般的に、こうしたオンラインイベントには専門業者が入り、複数のスタッフが運営に携わります。しかし、雨宮さんは一人でこなしてしまいます。

業者に頼めば数十万円はかかる規模だと思います。これを社内完結できたことで、配信を活用したビジネスの拡大へ繋げていけると感じました

コミュニケーションの拠点として

雨宮さんの一連の配信スキルは、元々カメラや映像編集が趣味だったこともあり、プライベートの時間も使って培われてきたものだと言います。

そんな雨宮さんについて、執行役員でもある、牧 法人営業本部長はこう評価します。

彼は『社員が大好き』なんです。プラザのため、仲間のために何ができるかを常に考えている。だから、みんなも応援したくなるんです

雨宮さんの次の目標は、このスタジオを社内コミュニケーション向上の拠点にすること。

法人営業本部では、感謝を伝え合う文化を大切にしています。いろんな部署でどんな仕事がされているのか、どんなコミュニケーションがあるのか――それを映像で伝えていきたいんです

実際、所沢テクノセンターの見学ツアーも企画中なんだとか。

店舗で働く社員は、なかなかこういう拠点に来れる機会がありません。でも、自分たちが使っている機材がどこでメンテナンスされているのか、どうやって作られているのかを知ることは、自分自身のためにもなると思うんです

配信スタジオを使えば、遠隔地からでも見学に参加できます。

リアルタイムで質問に答えたり、詳しい説明をしたり。オンラインとオフラインを組み合わせた、新しい見学スタイルを実現したいですね


わずか数畳ほどの小さなスタジオ。しかし、そこから生み出される可能性は、計り知れません。

3年前、倉庫の一角から始まったこの挑戦は、今やAI研修、オンラインセミナー、商品紹介動画と、多岐にわたる成果を生み出しています。そして、それらすべてが、一人の社員の情熱と技術によって支えられているのです。

「まだまだ発展途上」と謙遜する雨宮さんですが、その目には確かな手応えと、さらなる可能性への期待が輝いていました。

趣味と仕事の境界を越えて、会社のために、仲間のために――雨宮さんの挑戦は、プラザクリエイトの未来を映し出す小さくて大きなこの拠点から、これからも続いていきます。

次回は本特集の最終回。法人営業部3名による座談会をお届けします。所沢テクノセンターの未来、そして法人営業部が目指す姿とは――。

第4回へ続く

(この特集の取材・執筆者)

いからしひろき

プロライター、日刊ゲンダイなどでこれまで1,000人以上をインタビュー。各種記事ライティング、ビジネス本の編集協力、ライター目線でのPRコンサルティング、プレスリリース添削&作成も行う。2023年6月にライターズオフィス「きいてかく合同会社」を設立。

きいてかく合同会社: https://www.kiitekaku.com/

(撮影者)


蔦野裕

(企画・編集・デザイン)

大宮光
株式会社プラザクリエイト・マガプラ2代目編集長

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