代表対談企画:スタメン大西社長×プラザクリエイト新谷社長(後編)「年代ごとの価値観の変化と情報発信のバランス」

前編では、コミュニケーションスタイルの違いや組織づくりについて語り合った二人。
続いては、経営者としての価値観の変化や、事業成長と外部発信のバランス、そして人材育成における「人と人の組み合わせ」が話の焦点になっていきます。二人の若手経営者が「強さ」「正しさ」「面白さ」という価値観の変遷を振り返りながら、組織と人の成長について深掘りしていきます。
参加者PROFILE

大西泰平(おおにし たいへい)
株式会社スタメン 代表取締役社長/CEO
筑波大学卒業後、大手広告会社やITベンチャーの海外拠点責任者を経て、2016年に株式会社スタメンを共同創業。営業・開発・財務など幅広い経営経験を持ち、2023年1月より代表取締役社長/CEOに就任。多様な実務経験とリーダーシップで、スタメンの成長を牽引している。

新谷 隼人(しんたに はやと)
株式会社プラザクリエイト 代表取締役社長
広告代理店勤務を経て、株式会社リクルートに転職し、3年連続でMVPを獲得。リテール新規開発グループやカスタマーサクセス領域にてマネージャーとして活躍。2019年に株式会社プラザクリエイトへ入社。取締役を経て、2022年より代表取締役社長に就任。
年代ごとに変わる価値観と成長

大西さん、40代になってから、20代や30代の頃と比べて大事にする価値観って変わりましたか?



ええ、変わってきていると思いますね



自分は20代の時、とにかく「強さ」を重視していたんです。毎日を終える時に「今日は同年代で一番働いたな」と感じられるかどうかが全てで。優れた人は普通に過ごしていてもすごいんだから、自分は時間でカバーするしかないんだと



わかります!まさに個人アスリートのような世界ですよね



30代になると、それに「正しさ」が加わってきたんです。以前は結果さえ出ればいいと思っていたのが、チームを持つようになってからは、強さだけじゃなくて正しさも必要なんだってわかってきて



でも……強さと正しさだけでは、人はついてきてくれないんですよね



そうなんです。それで最近は「おもろさ」も軸に組み込んでいます





これもよくわかります! 年齢を重ねて、人との組み合わせがいかに重要かを実感するようになりまして。20代の頃には想像もできなかった方向に進んでいるけど、それはそれで今の自分には達成感があって。何が違いを生んだのか考えると、やはり「人」なんですよね。「人間が食材だとしたら、調味料も人間なんだ」と



食材と調味料、面白い発想ですね!



自分一人で変化を起こすのはとても難しい。幸せにも不幸せも、成功にも失敗にも、人との組み合わせの妙がありますから。だから、誰と出会ってどんな時間を誰と過ごすかを、強く意識するようにしてきましたね



社長って一般的に、普通では会えないような方ともお会いできる立場じゃないですか。自分も社長になってから、人と会うことで成長するスピードが格段に上がったと感じているのですが、大西さんはいかがですか?



同じ出会いでも、タイミングと役割により意味が変わるものだと考えてます。社長になってからの出会いは、その立場になって初めて得られたもの。もし22歳で社長になっていたら違う形になっていたでしょうが、今のタイミングが自分にとってベストだったと思います



なるほど……その時の自分にとって、意味のある形になるものだと



ええ。そして、「今がベストだ」と思い込む自己洗脳も大事です。ないものを数えると辛いから、あるものを数えて、その中でどう工夫すればもっと良くなるかを考え続けます。これは謎の前向きさと言えるかな?(笑)


事業成長と外部発信のバランス



話は変わりますが。大西さん、最近YouTubeやnoteといったメディアで積極的にご活動されてますよね。特にnoteでの赤裸々な経歴の告白はとても印象的でした!



ありがとうございます。競合ひしめく業界なので、なかなか知名度を上げるのに苦労しますから。数字や外的情報だけでは差別化できないところを、「生っぽさ」を出していこうと試行錯誤しています。上場企業なのに人間くさいところが、僕たちスタメンの良さだと思っているんです



これまではあまり表に出なかったのを方針転換したのは、何かきっかけがあったんですか?



属人化を避けてきた部分があったんですが、僕にバトンタッチして、徐々に自分たちのカラーが固まってきたんです。そこで「上場して売上も数十億になり、外部への発信を強化するタイミングかな」と思って



そうだったんですね。これはぜひお伺いしようと思っていたのですが、「事業とメディア露出のバランス」ってどう設計されていますか?



メディア露出については、“まずは本業をきちんとやるべきだ”という声もある一方で、“知ってもらわないと始まらない”という考えもあって、バランスが難しいなと感じていて



事業が成長してからでないと難しいと思いますね。スタメンの場合は、事業が伸びているからこそ、外部に発信する力も強化できました。幹部陣も育っているので、役割分担がうまくできるんです



機が熟すタイミングの見定めが大事ということですね



ええ。「事業の成長」と「会社の知名度・ブランド力」、この二つのエンジン」が必要だと思います





例えばHRテック(Human Resources Technology)業界の先行企業と比べて売上が2~3倍になったからといって、自動的に採用力も2~3倍になるわけではないということです。サイバーエージェントもDeNAも、事業が伸びてブランド力もあるからこそグレートカンパニーになれているのであって、両方が欠かせないですよね



両軸を戦術的に育てていく中に、メディア戦略を位置付けていらっしゃると。なるほどなぁ、勉強になります!
人材育成に「ワクワク」を



最後はぜひ、この質問で締めくくらせてください。
採用の最終面接を全てご自身で行われるほど、「人」に重きを置かれれいる大西さんはこれから、どんな仲間を増やしていきたいですか?



「仲間になりたい」と直感で思える──この人が入ったらワクワクする、そう思わせてくれる人ですね。優秀さでチーム全体を良い方向に変えてくれるのではと言う期待、既存メンバーを刺激してくれるというワクワク感。全員が成長できる、良い競争環境を生み出す人材が理想です



誰と一緒に仕事をするか、誰と時間を過ごすかで自分自身も変わる。人との出会いを大切にしながら常に前を向いている人は、どんな組織・立場になっても活躍できる人材ですね



ええ、そう思います



大西さんのこれまでの積み重ねが、「今がベスト」と確信できる根拠になっているんだと明確に見えた対談でした。本日は本質に迫るお話をお聞かせいただき、ありがとうございました!



こちらこそ、ありがとうございました!


(おわり)
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株式会社スタメンご紹介
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(このコラムの執筆者)


いからしひろき
プロライター、日刊ゲンダイなどでこれまで1,000人以上をインタビュー。各種記事ライティング、ビジネス本の編集協力、ライター目線でのPRコンサルティング、プレスリリース添削&作成も行う。2023年6月にライターズオフィス「きいてかく合同会社」を設立。
きいてかく合同会社: https://www.kiitekaku.com/
(撮影者)


上岸卓史