開発・企画者インタビュー:食べられないおいしさ──粘土キット開発者が語る「つくるんです®︎ トイフードシリーズ」【前編】

アイキャッチ画像(マガプラ記事no.61用)トイフードシリーズ開発秘話に迫る

目次

「つくる楽しさ」を追求するDIYクラフトキット「つくるんです®︎」から、待望の新シリーズ「トイフード」が2025年3月に登場。粘土でミニチュアフードを作る全12種類のキットは、スイーツ、ブレッド、焼き菓子の3シリーズで展開されています。キットには必要な材料がすべて揃っており、初心者でも安心して楽しめるんです。

そこで今月の特集は、この「トイフード」に大注目!
開発秘話からSNSでの仕掛けまで、それぞれの担当者にとっておきの情報を聞き出してきました。

全4回シリーズの初回は、どのようにしてこの魅力的な商品が誕生したのか、開発インタビューの前編をお届けします。

参加者PROFILE

永井 麻友香(ながい まゆか)

株式会社プラザクリエイト ソウゾウ事業本部 ビジネスデザイン部事業開発グループリーダー。
美大卒業後、インハウスデザイナーや広告制作会社勤務、フリーランスデザイナーを経て2020年1月にプラザクリエイト入社。元々グラフィックデザイナーとして入社したが、現在は開発担当として活躍。

名取 舞英(なとり まえ

株式会社プラザクリエイト ソウゾウ事業本部 ビジネスデザイン部。
2021年に新卒入社。入社当初から「つくるんです®︎」シリーズに関わり、現在はビジネスデザイン部で開発を担当。営業企画や商品のスケジュール管理、説明書編集など幅広い業務を担当。

目次

つくるんです®︎とは

まずは「つくるんです®︎」シリーズについて簡単に教えていただけますか?
永井

「つくるんです®︎」は日常生活の中での「つくる体験」を価値として提供している商品シリーズです。つくる楽しさや、できあがった時の達成感を味わっていただけることを目指して開発しています

名取

小さなお子さんから大人まで楽しめるように設計していて、ミニチュアハウスやウッドパズルなど様々なラインナップがあります。お家で黙々と取り組む新しい趣味としても人気があるんですよ

誰もがワクワクするDIYキットを展開する「つくるんです®︎」

トイフードシリーズの誕生は、偶然の出会いから?

今回新しく登場した「トイフードシリーズ」はどんな経緯で生まれたのですか?
永井

約1年前のホビーショーがきっかけなんです。その展示会で、隣のブースに粘土のフェイクフードを展示している会社さんがあって……

名取

アーテックさんという会社ですね。学校教材や教育玩具の製造・販売を行っているメーカーさんで、粘土素材のスペシャリストという印象でした

永井

営業部長と「こういった商品ができたらいいね」という話になり、今回の商品の実現に結びついたんです

偶然ブースが隣だったことが、企画スタートのきっかけに
名取

実は、それ以前にコアファンの方へのアンケートでも「フェイクフードを作りたい」という声がありまして

永井

そうなんです。今までの「つくるんです®︎」とは異なる素材での展開への挑戦でしたが、お客様の声が後押しになりました

粘土というと「つくるんです®︎」シリーズでは初めての素材ですね?
永井

はい、これまで本格的な粘土キットはありませんでした。ミニチュアハウスの一部でほんの少しだけ粘土を使う工程があったのですが……

名取

正直、「作りづらい」という声をいただいたこともあって。今回はその反省を活かして、本格的に粘土キットを開発しました

お客様からの貴重なフィードバックは常にチェックし、開発のアイデアへ活用
永井

粘土って、子どもの頃に触ってきりという方が多いと思うんですが、実は大人になってからも創作意欲をかきたてる素材なんですよ。触感も楽しいですし。その“「つくる楽しさ」の再発見”をお届けできたらなって

素材、説明書、動画……全てにこだわり抜いて完成

トイフードシリーズの特徴は何でしょうか?
永井

なんといっても、自分で粘土を配合して色を作るという工程がポイントです。赤、青、黄色といった基本の粘土を組み合わせることで、様々な色を自分で作れる楽しみがあります

名取

それと、オールインワンキットになっているところですね。粘土やキーホルダー用の金具など必要な材料が全て入っているので、この一箱があればすぐにつくり始めることができます

必要な物はすべて揃っていると胸を張るふたり
もちろん粘土の着色も不要。
組み合わせて色をつくる楽しさも体験できる
名取

また、試作をしていて「ここは詳細があった方が良いかも」と気がついた点は、説明書に細かく盛り込んでいきました。そうこうしているうちに、動画もあると嬉しいよねという話にもなり……QRコードから作り方動画を確認できるようにもしました!

永井

動画はメンバーが実際に作りながら撮影したんですよ

名取

開発過程で作り慣れているはずなのに、いざ撮影するとなると緊張のせいで何度もリテイクが発生したり、なかなか大変でした(笑)

開発で苦労された点はありますか?
永井

最初はラインナップ選びに悩みましたね。スイーツが多く、見た目が似たものもあるので、並べた時に「かわいい」と思ってもらえるものを厳選しました。難易度もバランスを考えながら揃えて

そして最終的には3シリーズ・12ラインナップでの発売が決定
名取

それと、粘土の品質についてはこだわりました。消費期限や保存方法など、アーテックさんに細かく相談しながら試行錯誤の連続でした

永井

そうそう、粘土はすぐ固まってしまう可能性もあるので……その辺りの「困った」や「あるある」に関するサポート情報を充実させることができたのは、試作を繰り返したからこそかなと思います

個性が光るのが、粘土作品の魅力

見本と自分が作ったものに差が出てしまうことについてはどう考えていましたか?
永井

それは最初から議論になりました。実際に試作品を作ってみると、人によっての完成形のばらつき具合が、他の「つくるんです®︎」シリーズよりもはっきり見えたので

名取

でも逆に言えば、そこがこの商品の魅力でもあると思ったんです。アレンジやオリジナリティを出しやすい。人それぞれの味があっていいですよねと!

永井

そうですね。他のシリーズは完成形を目指すものが多かったけど、トイフードは完成度を気にせず自由に楽しんでいただけるんじゃないかと思ってます

名取

私たちが社内でサンプルを作る段階でも、みんなそれぞれ個性が出て面白かったんです。同じ説明書を見ても、仕上がりに個性が出るのが粘土の面白さなんだと再確認しました

永井

もちろん、色の配合や作り方は詳しく説明しているので、その通りにすれば見本に近いものが作れますよ!

名取

難易度は★〜★★★で表示しているので、初めての方は簡単なものからの挑戦がおすすめですね

永井

そうですね。ドーナツやクッキーは簡単な★で、約15分で作れます。難しいものでも45分程で完成できる難易度ですので、ぜひ色々作ってお気に入りを見つけていただけると嬉しいです

気になる方は、Instagramで「ドーナツつくってみた」をチェック

粘土は特有の難しさがあるイメージですが、その点での工夫はありますか?
永井

失敗しても作り直せるよう、少し多めに粘土を入れています。初めての方にも、安心して挑戦していただきたいなと

名取

紙粘土なので、完成後24時間乾燥させれば長期保存も可能です。完成後はキーホルダーにしたり、お部屋に飾ったり、色んな楽しみ方ができます!


少しなら失敗してもOK、という安心感は大きいですね。粘土の最初のひとちぎりってドキドキしますから。でもこのトイフードシリーズなら、そんなドキドキがワクワクに変わりそう─なんて思えてしまうのは、まさにお二人の狙い通りなのかもしれません。

次回は、より具体的な制作の裏舞台を深掘りしていきます!

後編につづく

トイフード総選挙実施中!

商品情報

つくるんです®︎ トイフードシリーズ 全12種

参考小売価格:1,650円(税込)
全国の取扱店舗/公式オンラインショップで販売中

  • 対象年齢:10歳以上
  • 製作時間:15分〜45分(商品により異なる)
  • 特徴:国産粘土使用、キーホルダー金具付き、QRコードから製作動画視聴可能

公式オンラインショップ

(この特集の取材・執筆者)

いからしひろき

プロライター、日刊ゲンダイなどでこれまで1,000人以上をインタビュー。各種記事ライティング、ビジネス本の編集協力、ライター目線でのPRコンサルティング、プレスリリース添削&作成も行う。2023年6月にライターズオフィス「きいてかく合同会社」を設立。

きいてかく合同会社: https://www.kiitekaku.com/

(撮影者)


蔦野裕

目次