回転寿司レーンにメリーゴーランドが流れてくる!?くら寿司・企画担当者に誕生秘話を直撃インタビュー!

アイキャッチ画像(マガプラ記事no.27用)

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回転寿司業界のパイオニア「くら寿司」のレーンにプラザクリエイトの木製パズル「つくるんです®︎」が流れてくる!
……そんな噂を聞きつけたら、黙っていられないのがマガプラ編集部。早速行っていただきましょう、くら寿司へ!

果たして、本当に回転レーンにメリーゴーランドのウッドパズルが流れてくるのでしょうか…?!噂の真相に迫ります!
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平日夜なのに2時間待ちの大盛況!

担当ライターが、子ども3人とくら寿司渋谷駅前店を訪れたのは、木曜日の18時半。「平日だし、並ばずに入れるかな」と油断していた私たちを待ち受けていたのは、長蛇の列! 日本人だけでなく、インバウンドの観光客もズラリ。「まあ、でも回転寿司だし、お客さんの回転も早いだろう……」と淡い期待を抱いて整理券を引いたら、案内予定時間は2時間後の20時20分でした。

入店できるのは2時間後!大盛況に驚き

子どものうち2人は未就学児。夜20時スタートはさすがに遅すぎるため、泣く泣く出直すことに。

家に戻ると、仕事から帰宅した夫から「ネット予約しなかったの?」と呆れて言われる始末。食べログでは「予約不可」と書いてあるんですが、EPEAKというアプリで予約できるとのこと。夫に予約してもらい、後日、今度は待ち時間もなく、いざリベンジ!

席につくなり、子ども達は回ってくるお寿司に大興奮。回転寿司ってテンション上がりますよね。

みんな大好き回転寿司!

さて、回転レーンに「つくるんです®︎」のメリーゴーランドが流れてくるという噂の真相は、2024年11月16日から始まった新サービスの「プレゼントシステム」。

特別メニューを注文すると、ポップな音楽とともに、輝く装飾が施された回転レーン上で、パレードのように流れて来るというものです。

お店を訪れたのは12月。ちょうど誕生日を迎える次女がいたため、利用してみることに。

「おめでとう」「ありがとう」が選べます(2024年12月上旬時点)

注文は、本人の希望で「季節のフルーツケーキ」(1,000円)にしました。ほかに「季節のフルーツ プリン ア ラ モード」(800円)や「特撰ばらちらし」(1,000円)も選べます。

なお、「スマホで注文」を活用すれば、相手に知られずに注文できるとのこと。事前の予約は不要で、その場のふとした思い付きでも気軽に利用できるのも嬉しいポイントです。

今まで誕生日って当日に祝うものだとばかり思っていましたが、こういう風に「だいたいの誕生日」をカジュアルにやるのもいいですね。

帽子やサングラスなどのバースデーアイテムを持参したので、すっかりイベントムードです。

帽子とサングラスをつけて、スプーンを持ってスタンバイ

タッチパネルで注文を終えて、到着を待っていると、何やらにぎやかな音楽が! やってきました、噂のパレード!

きたきた! 噂のメリーゴーランド!
客席番号が書いてあるから他のお客さんに取られる心配はありません

到着時には、隣に流れるパネルに「おめでとう」のメッセージが表示されて、音声でも流れます。

抗菌寿司カバー「鮮度くん」が自動で開き、中から注文された豪華なメニューが登場する……というサプライズ要素も。

ところが、夢中で写真を撮っているうちに、肝心の商品を取るのをうっかり忘れて、流れて行ってしまいました……。

あ〜!!

すると隣の客席から「何これ? かわいい! 」という声と、バシバシ写真を撮る他のお客さんの横顔が。私が撮られているわけではもちろんないのですが、自分が注文したもので喜んでもらえるってなんだか嬉しいです。

再び私たちのところに戻ってきたものを今度はしっかりゲットして、いただきます!!

娘が大喜びだったことは言うまでもありません。

大喜びの妹と、妹だけ祝ってもらえて悔しそうなお兄ちゃん。
テストで100点とったらお祝いにまた来よう!

それにしても、一体誰がこんな斬新な企画を考えたんだろう。気になりすぎて、ダメ元でくら寿司サイドに取材を申し込んだところ、なんとまさかのご快諾。このノリの良さ、さすがおもしろ企画をたくさんやっている会社です!

企画の生みの親は…システム担当者!?

オンラインでお話を聞いたのは、くら寿司株式会社DXソリューション部の橋本大介さんと、広報部マネージャーの小坂博之さん。

入社以来、20年近くの付き合いだという小坂さん(写真左)と橋本さん(写真右)

ん? ご担当者の橋本さんのご所属は「DXソリューション部」…DXを駆使して店舗イベントを企画する部署なのでしょうか?

橋本さん

DXソリューション部は、本来PCのネットワーク管理や情報システムの整備を行う部署でした。でも、予約システム、自動案内、客席のタッチパネル、セルフレジなど“お客様が楽しめる体験”をITで支えるうちに…あれやこれやと、エンタメ企画の開発も請け負うこともままありまして。

橋本さんチームが導入を担当した、2011年に登場した抗菌寿司カバー「鮮度くん」。約100年の歴史ある「地方発明表彰」において「発明奨励賞」を受賞した
客席設置のタッチパネルも、もちろん橋本さんチームの作品
子どもたちに大人気のビッくらポン!

くら寿司といえば、5枚お皿を入れるとガチャガチャできる「ビッくらポン!」が有名です。お皿を片付けると抽選ゲームが始まり、子どもたちに大人気のこのシステムは、くら寿司の象徴の一つになっています。

橋本さん

それで、ビッくらポン! のような、お客さんにワクワクしてもらったり驚いたりしてもらえるような仕組みをまた考えたいねってなって。実は今や回転ベルトにお寿司を流すのって、くら寿司ユニークなものになりつつあるんですよ。じゃあやっぱりそれを活用したいなって

しかし、“レーンにプレゼントがパレードのように流れてくるイベント”というアイデアは早々に固まったものの、開発は決して簡単ではなかったそうです。

橋本さん

最初は頭で描いたイメージがうまく具現化しませんでした。円柱にLEDライトを巻きつけてチカチカさせたものを回転台の上で商品をくるくる回したら、シュールすぎるやろ! って社長らから突っ込まれたりね……試行錯誤でした。でも、つくるんです®︎の木製パズルを見て、試行錯誤4回目にして、やっと打開できたんです

「つくるんです®︎」との運命的な出会い

そう、活路を開いたのはネットで偶然見つけた 「つくるんです®︎」。

つくるんです®︎メリーゴーランド
橋本さん

見つけた瞬間、これだ! と直感しました。寿司レーンにメリーゴーランドがくれば、お客様は楽しんでくれるはず! 木の温もりも良いなと

橋本さんの目論見通り、経営会議も無事通過。とはいえ、導入には課題が続出したといいます。

橋本さん

ネット通販であるったけ買い求めて、それでも足りなかったので、近くの書店や雑貨店まで探し回りました。スタッフ総出の人海作戦で、必死でかき集めましたね

そんな第一関門を突破して、なんとか導入にこぎつけたメリーゴーランド。しかし、次に立ちはだかったのは“量産の壁”だったと橋本さんは振り返ります。

橋本さん

ウッドパズルを組み立てるのに苦戦しまして……。何せ数が必要だったので、手が足りず。店員が組み立てに回ってしまうと接客ができないので、工場の加工職人の皆さんにも空き時間にお願いして、組み立てをしてもらったんですよ

なんと、メリーゴーランドを組み立てるために、工場の皆さんまでパズル職人にしていたとは!

こちらが実際の、レーンに流れてきた「つくるんです®︎」メリーゴーランド(※LED装飾はくら寿司さんオリジナルアレンジ)

流れてくると、お店全体が盛り上がる

やってみると、店内から驚きと喜びの声が次々と寄せられたと、広報部の小坂さんは語ります。

小坂さん

誰かが注文すると、他の席から拍手が沸き起こり、店内が一体感に包まれる盛り上がりだったと。これは予想以上の反響でした

橋本さん

そうそう。実際に店に足を運んでみると、確かに子どもたちが、わあ! 何かすごいのが来た! と驚いてくれて……嬉しかったですね。それを見て、店舗スタッフも喜んでくれてたんですよ

小坂さん

ただ面白いものじゃなくて、みんなで楽しむ空間ができたと聞いて、やって良かったなと。ありがたいことにお客様から「うちの地域の店舗でもやって欲しい」なんてお問い合わせもいただきましたね。SNSでも大変盛り上げていただいています

レーンを流れるメリーゴーランドがここまで受け入れられたのは、なぜでしょうか?お二人はその理由をこう分析します。

小坂さん

サプライズと、あとはやっぱり木の温かみでしょうね。デジタル化が進んだ現代だからこそ、アナログなものに人は惹かれると思うんです

橋本さん

だからこそくら寿司では、「あえてのアナログ感」を大切に残している部分も多いんですよ

残念ながらプレゼントシステムでの「つくるんです®︎」の採用は、諸般の事情から“お休み”ということですが、プレゼントシステムの店舗自体は拡大し、クリスマス用の特別な仕掛けも行うそうですよ!

愉快な音楽と共にパレードが到着するあの楽しさ、ぜひ皆さんも体感してみてください!

実施店舗など詳細はこちらから↓

「味」と「店タメ」、どちらも妥協なし

最後に、お二人が考える「くら寿司らしさ」についてお伺いしました。

橋本さん

常に進化を求める会社ですね。同じことを続けるだけではお客様は飽きてしまう。「次は何が来るんだろう?」「また、くら寿司が何かやった!」とワクワクしてもらえる挑戦を続けたいですね

小坂さん

これまで、結構革新的なことをやってきたという自負があります。例えば、回転寿司のあの客席の形を最初にやり出したのも、タッチパネル導入あたりもうちが始めたことだったりするんですよ。とにかく、お客様に楽しんでいただきたい。それを突き詰めたのが「店タメ(店舗エンターテイメント)」という概念ですね

橋本さん

でも結局のところ、やっぱり「味」が全ての基本。「美味しさ」という前提がないことには、どんな仕掛けがあろうが、お客さんに喜んでいただくなんて無理な話だと思ってます

小坂さん

「味」と「店タメ」、それを両立させることを大事にしています。実は、私が入社するよりも以前から「化学調味料」や「合成着色料」「人工甘味料」「人工保存料」の四大添加物を、全食材において使用しておらず、お客様が安心して食べることができて、美味しいんです。この社風はしっかりと継承していきたいです

今回、このプレゼントシステムの実施店舗拡大の対応の忙しい合間に、インタビューに対応くださった橋本さんと小坂さん。そうこうしている間にも、くら寿司の公式WEBサイトを覗くと、さまざまなフェア・企画がスタートしています。この記事が公開される頃には、早くも別の企画の立ち上げ担当として忙しくされていそうな予感です。

くら寿司の止まらぬ挑戦に、今後も乞うご期待を!

くら寿司

1977年堺市にて創業。無添加回転寿司チェーンストアの「無添くら寿司」を展開する。E型レーン・ボックス席や「ビッくらポン!」導入など、業界の中でも革新的な取り組みが話題に。
日本国外への店舗拡大も果たし、店舗数は2023年10月時点で649店(米国50店舗、アジア53店舗含む)

くら寿司渋谷駅前店。駅から近くて、買い物ついでに立ち寄りやすい

取材ご協力

橋本 大介(はしもと だいすけ)さん

くら寿司株式会社・DXソリューション部マネージャー。店舗にて運用されている自社システムを30以上手がける。

小坂 博之(こさか ひろゆき)さん

くら寿司株式会社・広報部マネージャー。2022年2月より現職を務める。

(この記事の取材・執筆・撮影者(店舗写真))

綾部まと
ライター・インタビューライター。メガバンク法人営業、経済メディアのセールス&マーケティング部門を経て独立。マネー・キャリアなどのビジネス分野からライフ・恋愛分野まで幅広く手がける。媒体は「日刊SPA!」(扶桑社)、「ASOPPA!」(フレーベル館)、「集英社オンライン」(集英社)他。

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